2023/11/08 23:21

夕食を食べ終わり、片付け始める前に意を決して「はいっ」と声を発すると同時にスッと右手を挙げ夫を見つめる。

すると、向かいに座る夫も「はいっ」と返事をする。
私がこのような行動をするときは、旅行や大きな買い物の提案や相談をするときと個人的に何かを決断したときである。
今回は後者。夫も慣れたもので、背筋を伸ばし聞き入れる準備をしているようにも見える。
内心、また何を言い出すのかドキドキしているのか、実は何も考えてないのか私にはわからない。
私は少し緊張している。いつも、何かを提案したり自分の意見を言うのにすごく勇気がいる。
一呼吸おいて・・・
「電気炉を買おうと思います!」
高らかに宣言をした後に、家でも何か制作がしたくて・・・あ、もちろん自分のお小遣いの範囲でね・・・、ただ置き場所とか結構取るかもしれなくて・・・とモゴモゴと補足を付け加える。

夫の反応は驚くでもなく、ああそんなことかぐらいで平然としているように見える。
「本腰入れてやるの?」
「うーん、まだ全然未知だけど、そうしたいと思ってる」
冗談まじりにもう仕事辞めてもいい?と、ついでに言ってみる。
流石に、そこは反対もしくは副業が軌道に乗ってからしなよと諌めると思いきや

「いいんじゃない?やりたいことがあるって。自分にはそういうの無いから羨ましい」

何の澱みもなく、淡々と言ってのける夫に本気で言ってるのか!?と逆に私が動揺してしまったけれど
そう言ってもらえて、心底安心して張り詰めていた心がフッと軽くなったような気がした。
やっぱり好きなことで生きていけたらというのが理想の生き方だった私にとって
夫からもらった、この言葉はきっとこの先、挫けたり荒んだりしたときも支えになって私を助けてくれる。

私が逆の立場だったら、ふざけるなー!生活はどうすんだよー!と普通に怒ると思う。(ごめん)
仕事を本当に辞めるかは一旦、置いておいて・・・
周りの人に支えられて、制作も続けていられるのだと、この人一生大事にしようと改めて心に決めた夜なのでした。